リスク感知:重要リスク指標をサプライチェーン評価基準に組み入れる3つのステップ

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世界的な混乱を引き起こす事象へ対応することは難しいですが、私は、問題解決に関わる全関係者にリスク緩和に要求される迅速な対応力が欠けているという点に注目しています。グローバルシステムに関するあらゆるデータの収集とそのデータの解釈に必要なものが分かれば、対応時間の遅れに関する理解が深まります。

これにより、サプライチェーン実務家である私は、リスクが発生するかなり前からリスクの可能性を感知し予測できる迅速なメカニズムが必要だと思うようになりました。会社は必要な対応計画を、さらにはその先の予防計画を立てる貴重な時間を確保できるようになります。

サプライチェーンリスクの管理能力を身に付ける3つのステップは、以下の通りです:

ステップ1:起こり得るサプライチェーンリスクの特定

サプライチェーンリスクには、以下を含む多くの種類があります。

  • 単一ソーシング
  • 主要サプライヤーがいる現地で、人口構成や地政学的な変化が起こるリスク
  • 自然災害によって生じるリスク
  • 関連諸国の国際貿易政策や財政金融政策

ステップ2:緩和計画の作成

緩和計画にはリスクを緩和する予防計画と、実際にリスクが発生した場合に速やかに回復できる対応計画が含まれます。

緩和計画を作成する場合、仮説のシミュレーションを実行する能力が必要です。このシミュレーションによってリスクのレベルや深刻さをすばやく理解できるため、該当する緩和計画の実施に必要な投資のビジネスケースが判断できます。これには、代替供給源の開発や安全在庫の確保などがあります。

ステップ3:監視と対応

緩和計画の準備が整ったら、リスク事象に対するサプライチェーンの継続的な監視ができなければなりません。事象が起きる前に緩和を生じさせる必要があるので、混乱が起きれば対応計画が直ちに作動します。

それでは、サプライチェーンのリスク事象を効果的に監視するにはどうすればよいでしょうか。四大監査法人の1社に勤務した過去の経験の中で、私はリスクマネジメントチームの同僚たちと仕事をする機会を得ました。彼らと世界的な大手化学会社向けに、重要リスク指標(KRI)を重要業績評価指標(KPI)に組み入れるフレームワークを開発したのです。このフレームワークをサプライチェーン管理にも適用するのは有効だと、私は考えます。

最初にビジネス推進要因、KPI、KRIの定義を明確にしましょう。

  • ビジネス推進要因:経営目標の達成を支援する推進要因(プロセス、コンピテンス、情報またはタスク)。これら外部や内部からの影響は、主要な成果評価基準に大きな影響を及ぼします。ビジネス推進要因は成果に関連します。
  • 重要業績評価指標(KPI):経営業績と組織の達成目標の達成度を測定、評価する指標。KPIは組織戦略に直結し、戦略企画の過程を通して作成されます。
  • 重要リスク指標(KRI):事業の中でリスクレベルを判断し、将来に悪影響が生じる可能性を示す指標。KRIはKPIと相互関連する推進要因です。

これは、サプライチェーンKPIのバリューツリーを示したサンプルです。サプライチェーンの効率と効果、さらにその経営目標への貢献度を測定するために使用されます。

Value tree of supply chain KPIs

KPI毎に該当するKRIを特定できます。例えば、サプライヤーの納入実績は納期遵守率KPIの達成に影響を与えます。日本では自然災害がたくさん発生します。さらに、少子化により、多くの小規模サプライヤーは後継者問題に直面しています。そこで、KRIを作成し、 単一ソーシングサプライヤーの事業継続マネジメント(BCM)プログラムの採用率を測定します。その採用率が急に減少、または所定値を下回る場合、何らかの行動を促す警告が発せられます。別のKRIを定義することもできる。例えば、災害に直撃された場合には 主要サプライヤーの回復時間 を測定するKRI。

KPIとKRIを組み合わせることによって、一体化したバリューツリーの作成が可能です。以下のように、どのようにリスクが目標実現に影響を与えるのかが分かります。

Value tree showing how risks will impact your objective realization.

 
KRIとKPIの相互関係を計算する公式を定義するのは難しいかもしれません。これは、統計手法や機械学習技術を使用する事例になるでしょう。

Kinaxis® RapidResponse®などのコントロールタワーシステムを利用すると、KPIとKRIを取り入れることが可能です。これによって外部事象によってもたらされる警告を発する能力が得られるので、混乱が起きてから消火活動モードになる代わりに、先手を打って措置を講じることができます。P&Gが良い例です。 同社は気象情報を感知して、迫り来るハリケーンが引き起こす潜在的な混乱を特定しました。P&Gは資材や人を他の工場へ移す事業継続計画を作成できたので、顧客への対応が引き続き可能でした。非常に優れたサービスレベルを保ちながら、同社の財務結果に影響はほとんどなかったのです。

他にも多くの企業が混乱に直面した際に、同様の戦略を用いてリスクを緩和しています。 混乱に対する成功事例ページで彼らの経験とアドバイスを詳しく知り、御社のリスク緩和戦略を作成しましょう。

 

Learn more about best practices for managing disruption in the supply chain.

 

 

 

 

 

 

 

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